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XLDにおけるDSDへの対応について
概要
バージョン 20141109 より、XLDはDSD形式のファイルを読み込み、他のフォーマットに変換することができます。対応しているDSDのファイル形式はDSF (.dsf) とDSDIFF (.dff)、そしてSACDの.isoの3種類で、いずれも2.8MHz (DSD64) と5.6MHz (DSD128) のファイルを扱うことができます。
設定
"XLD" メニューの "DSD Importer Settings..." を選択すると、次のようなパネルが表示されます。
- Samplerate Conversion
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サンプルレートの変換方法を指定します。"8:1 Decimation" "16:1〜" "32:1〜" の3つは、デシメーション (間引き) フィルタによりDSDファイルのサンプルレートをそれぞれ1/8、1/16、1/32にした上でPCMに変換します。2.8MHzのファイルであれば、それぞれ352.8kHz、176.4kHz、88.2kHzのファイルが生成されることになります。それ以外の選択肢では、まず8:1のデシメーションフィルタを適用してPCMに変換した上で、通常のサンプルレートコンバータを用いて任意の周波数に変換します。
XLDで利用可能なエンコーダの中には、エンコーダ自体にサンプルレートの変換機能が含まれているものがあり、場合によっては自動的に最適な周波数への変換が行われます (非可逆圧縮のエンコーダの場合)。この場合、DSD-PCM変換の際に一度サンプルレート変換を行った後、さらにエンコーダでもう一度変換が行われることになり、効率的にも品質的にも望ましくありません。"N:1 Decimation" 以外の設定を使う場合は、エンコーダ側のサンプルレート変換を可能な限り無効にした上で使用することをお勧めします。
通常は44.1kHzもしくは88.2kHzより高い周波数を選ぶ意味はありません。DSDに使われるΔΣ変調は量子化ノイズを高い周波数に集める技術であり、信号の帯域 (DSD64であれば20kHz程度まで、DSD128であればその倍) 以上は周波数が高いほどノイズが多くなります。
- SRC Algorithm
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サンプルレートコンバータを使用する場合のアルゴリズムを選択します。SoXを用いて変換が行われますが、品質はVHQ、HQ、MQの順に高く、VHQが最も高品質ですが低速です。
- Quantization
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PCMの量子化フォーマットを指定します。"24-bit Integer" は24ビット整数型、"32-bit Floating Point" は32ビット浮動小数点型です。出力フォーマットが対応しているのであれば、32ビット浮動小数点型が推奨されます。24ビット整数型を選び、サンプルレートが高い (8:1や16:1に相当する周波数) 場合、残留する高周波の量子化ノイズによりクリッピングを起こすので注意が必要です。
- Gain Adjustment
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PCMに変換する際のゲイン調整を設定します。SACDがソースの場合、ピークに対して6dB低く記録されているのが普通で、+6dBに設定すると適正な音量になります。
32ビット浮動小数点型に変換する場合は変換後にゲインを調整してもダイナミックレンジが失われることはありませんが、24ビット整数型に変換する場合はここで適正なゲインを設定しておかないとダイナミックレンジを失うことになりますので注意してください。
制限
- マルチチャンネルの.isoイメージを開いた場合、(現時点では) 2chのデータのみ読み込みます。
- 既に開いているファイルに設定を適用するには、ファイルを開き直す必要があります。